■特集 「capsule」 (第1回)■



 林田健司はイイ。

 ひょっとしたらまるおは日本の男性シンガーソングライターの中で林田健司の 「声」 が一番好きかもしれない。

 林田健司は本当に魅力的で素晴らしい 「声」 をしている。

 歌唱力だってそれはもう絶品だ。

 この 「声」 と 「歌唱力」 の相乗効果によって元々あまりボーカルパートなど聴かない私の耳すら惹きつける絶品ボーカルを生み出している。


 例えば小室哲哉が誰かしらの歌手に提供した楽曲はその歌手が歌っていなくてもいいのである。

 大事なのは「小室哲哉が作った」 という事なのだから。

 しかし林田健司は違うのだ。

 林田健司の曲だから聴くのではなく
林田健司が歌っているから聴くのである。

 極端な話、林田健司が曲を書く必要は無いのだ。

 林田健司以外の作家が作った曲を林田健司が歌うという形でもいいのである。

 とにかく林田健司は@にボーカリストなのである。

 そしてAに作曲家だったり編曲家であったり作詞家だったりするのである。

 そんな素晴らしいボーカルを聴かせてくれる林田健司。

 バラードなんて歌ったらもう甘い甘い。

 甘くてとろけそうである。

 「Wonderful You Are」 というバラードが
激甘でとてもイイと思う。

 そしてガラッと雰囲気が変わって 「Doors」 というアルバムから 「This Is Private」 と 「キャンパスライフ」 。

 この3曲は絶品である。

 もちろんまるおは林田健司の曲の多くを
聴いた事が無いのでまだまだ名曲が存在する可能性がある。

 大体が現時点でアルバムを20枚(ベストアルバムなども含む)くらいリリースしているアーティスト(林田健司)の話をだ、

 たかだかアルバム4枚くらい聴いた事ある程度で(しかも実際に所有しているのは1枚だけ)。

 そんな状態でだ、



 いかにも全部知り尽くしているぜ的に書いてしまうところが既に無茶苦茶なのだ。


 思えば今年1月8日の 【スペシャル対談 「まるお×まき」 その@】 の時もそうだった。

 私はアース・ウインド & ファイアーなんて3曲しか知らない。

 まきさんはそれなりに詳しいと思うが言い出しっぺの私が実は3曲しか聴いた事がないという実にもう開いた口がふさがらないお粗末な企画だったのだ。


 それなのに、

 「いやー。数あるアースの中でも名曲ったらやっぱコレだよね。」 とか言っちゃう有り様。

 「イントロ部門はこれ!バラードだったらこれだな!」 などと偉そうな発言を連発。

 終いにはマット・ビアンコとか言い出してもう既に
アースの話じゃなくなってますがな。

 というわけで、




 この場をお借りしまして皆様にお詫び申し上げます。



 さて、

 話は林田健司の歌に戻ります。

 タイトルは capsule なのにまだ林田健司の話をしてしまうわけです。



 「Wonderful You Are」 は煌びやかでクリアな音質のいわゆるちょっと飾った感じのオシャレソングです。


 とても
美しい楽曲に林田健司の激甘ボイス

 更に林田健司の
天才的な歌唱力が一つとなってもう女性はメロメロ必至の魅惑のスイートバラードに仕上がっている。


 そして 「Doors」 からのバラード2曲。

 この2曲は 「Wonderful You Are」 とは全く違った方向性。

 特に 「This Is Private」 の詞は痛々しい。

 その痛々しい詞の世界を見事に表現している珠玉の楽曲に乾いたボーカルが実に泣けてしまう。

 うん。

 名曲ですな。



 一方 「キャンパスライフ」 はノスタルジックな気持ちにさせてくれる浮遊感のある優しい曲。

 この曲は、

 深夜に間接照明の薄暗い部屋とかでソファーに腰掛けて。

 酒でも飲みながら卒業アルバムを一人ゆっくり眺めたりしちゃって。

 学生時代を懐かしむ気持ちで聴いたりすると凄く心地良いのではないでしょうか。


 とにかくアレンジが良い。

 まったり感溢れる独特の雰囲気を持った優しさ溢れる名曲です。



 しかしながら、

 この 「Doors」 というアルバム全体の空気。

 これが正直
いささか暗いのだがまるおの人生の方がよっぽど暗いので大した問題ではない。





 さて、

 そんな暗く寂しい人生を歩み続けて流行からもすっかり取り残されているまるお。

 そんなまるおが唯一キャッチしている最新のサウンドがアレです。

 そうです、

 とってもオシャレなステキサウンドの
capsuleです。



 はい。

 というわけでここでやっと capsule のお話になるわけです。

 まるおが初めて capsule の曲を聴いたのはFMラジオで、曲は 「東京喫茶」 でした。




 capsule 「東京喫茶」 (2001/ヤマハミュージックコミュニケーションズ)





 とにかくアップテンポでノリが良く曲としてのまとまりも良いです。

 初期の capsule の中でもかなりイケてまして、相当完成度の高い名曲だと思います。


 この頃の capsule はまだ 「ピチカートファイブの正統後継者」 とか言われてた頃で、

 無論ピチカートまんまではないですがその雰囲気はもう相当似たモノでありまして、

 言ってしまえば 「ピコピコしたピチカート」 って感じです。

 「ピコピコ」 と言ってはみたものの実際この曲自体にはそんなにピコピコした電子音は使用されていません。

 しかし、

 音は完璧にガッチリ拍に収まっており完全無欠の打ち込みサウンドです。

 もはや 「少しばかり拍を外して人間味を出そう」 とかそういった姿勢は一切見受けられなくて、どこまでも機械的なサウンドです。


 この曲がピチカートを思わせる要因としてはまず 「東京」 という言葉を連呼しているのが大きいかと思われるわけでして、

 もうやたらめったら 「東京」 「東京」 と連発されると頭の中は不思議と 「東京は夜の七時」 になってしまうわけで、


 おまけにサウンドが
渋谷系とくればそりゃもうどうしたって何に似てるって話になればピチカートに似てると言わざるを得ないわけです。


 まるおはこの 「東京喫茶」 という曲1発ですぐさま capsule のサウンドに惚れ込んでしまいました。


 
面白い音楽を作るアーティストだなぁ。


 そう思うと同時にもう capsule に興味津々です。

 ここからまるおはcapsule のファンになっていくわけです。

 ではその後の話はまた次回に。







 (すごくどうでもいい豆知識)

 この 「東京喫茶」 は 「喫茶店の店内の音」 (雑踏や食器の音)の効果音で始まるのですが、

 これは1994年にリリースされた観月ありさのシングル 「Happy wake up!」 のカップリング曲 「Close to you」 の出だしと非常に似ています。




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